みなさん、こんにちは
コアー建築工房の細見です。
ゴールデンウィークが明けてから、緑もぐんぐん成長する時期になってきました。みなさんの休日はいかがお過ごしでしたか?
私は、趣味の建築・インテリアの展示会を見に行ったり、旅行にも行ったり、自然と様々な空間デザインを体験・体感をしながら休日を過ごしたりしています。
さてそんな中、面白い企画展があったので、ここでお話ししてみようと思います。
それが「椅子とめぐる20世紀のデザイン展」!
これは、椅子研究家の織田憲嗣氏が長年かけて収集・研究してきた20世紀の家具と日用品が展示されています。ただ展示品を見るだけでなく、100年におけるデザインの変遷をなぞりながら、「美しい生活デザインとは何か?」を教えてくれる展示会になっていました。※本展は撮影禁止範囲が鑑賞エリアのみのため、作品・説明パネルを撮影させて頂いています。


まず、私が目に入ったのはあるこちら。

この銀行のためにデザインされた椅子の説明文のなかで
”その銀行では役職ごとに椅子のデザインを変え、椅子を見れば役職がわかる、つまり「地位を表す」を具現化した世界初の例”
と書かれていました。身分や役職は、服など身に着けるもので表すことが多いと思っていましたが、椅子で表すのか~!とちょっとびっくりしました。
次はこちらの展示物。

これはノルディック・モダンのティーパーティーを想定して造られています。注目したいのはこのテーブルとしつらえ。実は最大14人もセッティングできる可変型の机。普段は両端を合わせて丸テーブルとして使い、大人数を呼ぶときは間に机を挟んで大きな楕円テーブルができる優れもの。

なかなか14人でティーパーティーなんてないと思いますが、この展示物を見てるとティーパーティーに招かれた気分になります。各席ごとに違うデザインの椅子・食器類を配置したり、テーブル上には陶器・ガラス製の鳥を置いたり。
室内だけど、インテリアを工夫してあげることで、まるでお庭でティーパーティーをしているかのような演出がうかがえます。こんな豪華で工夫されたインテリアの演出は初めてでした。
次からは、おもしろいと思った椅子のデザイン。
まずこちらの骨格のような椅子。

Yチェアを手掛けたハンス・J・ヴェグナーの「チェアJH540(ヴァレット)」です。この椅子には、実はいろんな仕掛けが隠されています。
背はハンガー、座は手前に引き起こすとズボン掛け、座の下には小物を入れる三角形のボックスがある優れものです。そのため、従者・独身者のための椅子ともよばれていました。
玄関先に置いておくと、靴の脱ぎ履きからアウター類・アクセサリー類の着用まで、お出かけの時はとてもスムーズにできそうですよね。そう思うと欲しくなる品です。。。
次は「ブルーム」という椅子。

なんだか人みたいな椅子ですよね。実は本当に人をかたどった椅子なんです。
この椅子は、作者の友人がリクライニングした際にかたどったので、友人の愛称の「ブルーム」と名付けたそうです。初めて見たときは「クスッ」と笑ってしまうような愛嬌あるデザイン。すごい座り心地・・・というより寝心地も良さそうでした。
本展ではこの椅子に座ることはできませんでしたが、今私が座ってみたい椅子№1です。
最後は「チェア《ジョー》」というこちらの椅子。

なんといっても見た目がとてもかわいらしい椅子、いやグローブです。ちゃんとグローブを模して縫い目も施されており、右下には名の通り”JOE”の大きな革タグ。本当にかわいかったです。
また名前の”JOE”はアメリカ野球界の英雄でもあり、マリリン・モンローの夫でもあった、ジョー・デイマジオのグローブをイメージして作られたそう。イタリア人の遊び心から生まれたこの作品に、見た人は思わず子供心をくすぐられるのではないでしょうか。

ちなみにこの作品は、子供部屋をイメージしてセットで作られていました。ほかにも各時代・インテリアに合わせて



いろんな部屋もありました。
インテリアだけでもかえると、ずいぶん雰囲気が違いますよね。あまり時代ごとに合わせて部屋をデザインする椅子の展覧会が見られなかったので、とても見ごたえがありました。
本展のはじめでは「デザインは人を幸せにできるか。」と問いかけられています。
人それぞれ思うところはあると思いますが、わたしは幸せにできると思います。デザインによっては、使う人の暮らしが全く異なるからです。
今回はインテリアに視点を置いて見ましたが、家だって使う素材や間取り、設備などのデザインによっては愛着が出て、幸せの感じ方が大きく変わってくると思います。身の回りのデザインに注目して意識してみると、意外と今より愛着が湧くかもしれません。
ぜひ皆さんも暮らしのデザインに注目してみてください。
住まいの相談室 細見



