先日、地鎮祭がありました。
ところで、地鎮祭…
『建築・土木の工事に着手する前、土地の神を祝ってその工事の無事に済むことを祈る祭りをいう。』出典「小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)」
「土地の神」って何!?
各御家庭の建築する土地に神様がいるってどうゆうこと?神社とかにしかいないんじゃあないの?と思われる方も多いと思います。
建築設計・デザイン論のひとつに、実際のところの土地の神とは?みたいな部分に迫ろうとする「ゲニウス・ロキ」という考え方があります。
(以下、宗教的な話ではありません。宗教っぽくて少し怖いかもしれません。)
守護の霊という意味の「ゲニウス(Genius)」と場所・土地という意味の「ロキ(Locī)」の二つのラテン語の組み合わせです。
つまりは「土地に対する守護の霊(地霊)」ということになりますが、この言葉は単なる土地の神様(おばけ、守り神)という意味ではなく、
その土地の「目では見えない事柄(文化的・歴史的・社会的な背景・人々の記憶)が地霊だ」、という現実的な意味で使われています。(専門の人には、怒られそうなくらい簡単にまとめてます)
例えば、建物を建てたい土地について調べたときに、
目に見える範囲で捉えられる要素(南向きに間口が広くて良いとか、道路接道条件とか、整形な形、高低差など)は勿論、調べます。が、
その土地(ex:その街)での「文化的・歴史的・社会的」な背景、人の記憶」といった、目では見えない要素も、当然土地ひとつひとつに関わっており、
この目では見えない情報までを読み解くことで、その土地で建てる建物の用途や配置、デザインのアイデア(可能性・ヒント)を引き出すことに繋がるので、
もっと『物理的なことだけに縛られない大きな視野で土地を読み解くまなざし』を持つことは大切です、という設計論です。
なんか、とってもオカルトっぽい怖い話に読めました?
念押ししますが、宗教の勧誘などではございません。まじめに建築学です。
私は現実的で理屈で固めて決めたことばかりではなく、『理屈では説明できないこと』、が実は一番大切なことのひとつだったりすると思います。お客様のそうゆう部分を汲み取って、設計に反映できる設計者になりたいな、と思っています。
興味のある方は、東京大学 鈴木裕之さんの『日本の“地霊”(ゲニウス・ロキ) 』という本がありますので、ぜひ読んでみてください。超名著です。ちなみに鈴木裕之さんは建築論の神みたいな方です。
神主様の装束の色合いが、とてもエモいなあとシャッターを切りまくっていました。
私が感じたこの装束の「エモい」という感情も、理屈では説明できない大切なことなのでしょう。

辻尾