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釘とビスの違い

26日に堺市産業復興センターにて、12歳以下のお子様が対象の職業体感イベント『おしごとキッズパーク』が開催され、私たちコアー建築工房もブースを出展しました。

カンナを用いたお箸造りと、釘打ちが体験できる木工イベントを行い、終日お客様が絶えず有り難いことに大盛況でした!本物の大工さんに教えてもらいながらカンナで杉の角材を加工したり、金槌で釘を木材に打ち込んでいくことで、お子さんたちも大工さんになった気分を味わえたのではないかなと思います。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!
さて今回は、イベントでも大活躍だった『釘』と、普段私たちが仕事で多く用いる『ビス』の違いについてお話しします。
・形状の違い
どちらもフォルムはそっくりですが、これらは全く非なるものであり、使う場面も異なってきます。
釘は打ち込んでいく軸の部分が一直線で凹凸がありません。金槌で真上から打ち込んでいくことからも解るように、この形状は引き抜く力には弱いです。しかし、横からの力に対しては強く、破断することなく折れ曲がって抵抗します。
一方のビスは軸部分に螺旋状の加工がされており、ドライバーなどでねじ込んで打ち付けていくものになります。この形状により打ち込んだ材にしっかりと噛み付き、簡単には引き抜かれません。しかし、釘とは反対に横からの力には弱く、横から強い力が加わると意外なほど簡単に破断してしまいます。
・作業性
釘は手作業で打ち込んでいくため途中で曲がってしまったりすることがありますが打ち損じてもバール等で楽に引き抜くことが出来ます。また、金槌などの打ち込むものさえあれば作業が出来るので準備が非常に安価で済みます。しかし、最後まで打ち込まれた釘を抜く際や、金槌を空振りしたりすることがあると加工材を思いっきり傷つけることになります。
ビスはドライバーで時計回りに回転させると打ち込まれていき、反時計回りに回転させると引き抜くことが出来ますので打ち損じた場合もやり直しが効きやすいです。
日曜大工で活躍すること間違いありませんが、釘に比べると電動工具を買い揃えたり、手回しのドライバーでも狭所用など様々な種類があり、本格的に準備をするとなると費用がかかります。
どちらにせよ、慣れれば加工材を痛め付けずに作業できるようになってくるでしょう!
・使いどころ
釘もビスも、材料と材料とを接合するために使うものに違いないのですが、先ほどご紹介した通り、鉛直方向と横方向に対する強さの違いがあるため、使いどころも変わってきます。
例えば、天井に何か打ち付ける場合は、鉛直方向に強いビスを使うべきです。
建築にも釘とビスは両方使われており、例えば壁に打ち付ける構造用合板などは釘で止めつけられています。これは、地震などの強い力が生じたときに合板と止めつけてある柱などの下地の間には横向きのズレが発生するからで、せん断力に対して強い釘を使用しているのです。
一方で、構造の関係しない部分(家具制作など)には釘はほとんど登場しません。
釘とビス、あんな小さなものがお家造りを支えています。ビスが発明されてからも釘があり続けるように、どんなものでも理由や意味があって利用され続けています。
そういった部分でも建築は大変奥が深い分野ですので、これからも沢山勉強していこうと思います。
(後藤)

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