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建築のバランスとは・・・

N邸

建築の三大要素をご存知でしょうか。

建築学の最初の講義でよく耳にする言葉「強・用・美」が、建築の三大要素です。
この言葉は、古代ローマの建築家ウィトルウィウスが記した建築書『建築十書』の中にでてきます。

ウィトルウィウスは、
「建築は、firmitas(強さ)、utilitas(用)、 venustas(美)の理が保たれるように造られるべきである」と述べています。
要するに、3つのバランスが大切だということです。どれも欠いてはいけません。

先日、竣工検査にて訪れたN邸。
玄関を抜けた先に、広がる吹抜空間に木造架構が印象的なリビングダイニング空間。

「強・用・美」になぞらえ、この空間を解説してみます。

「強さ(firmitas)」
屋根からの力の伝達を支えるために掛けられた柱梁の木造架構。建物の骨。構造部分です。
縁の下の力持ちと思われがちな存在ですが、コアーでは空間のシンボルになっています。

「用(utilitas)」
要するに機能性や快適性の部分です。本件の場合、アイランドキッチンを採用し回遊性をもたせるなど、使いやすい空間寸法や効率的な動線計画がほどこされています。

「美しさ(venustas)」
内装が住まい手の生活に主張しすぎないよう、無機質な印象の色味を厳選しています。
そこに、一つとして同じものが無い本物の木の質感・木目ひとつひとつがアクセントとなって、全体のデザインを引き締め、まとめられています。

ポイントは木造架構(柱梁)にあると思います。

建物を成立させるために必要不可欠な構造材の柱・梁(「強」の部分)は、
家具レイアウトや家事動線といった機能性・快適性(「用」の部分)に不具合が生じないように、計画的かつ合理的に配置しています。さらに、それが空間に架構美となっていて、「美」の要素にも関わっているといえます。

この「強・用・美」の3大要素が複雑に関係しあったものを整理し、唯一無二のプランとして、私達はお客様にプランをご提示させていただいています。

コアーの建築に魅力を感じていただいている方は、無意識にこの絶妙なバランスの良さを感じていただけているのだろうと思います。

ウィトルウィウスさんが示した3つのバランスが保たれた建築こそ「良い建築」だと、ひとつの指標としてみてもいいのかもしれません。

私は最近汗をたくさんかくので、スイカばかり食べて栄養のバランスが崩れてしまっています。

食の3大栄養素の炭水化物、脂質、タンパク質もしっかりとって、
この夏の自転車通勤を乗り切りたいです。

辻尾


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