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お正月スペシャル 日本庭園の話です!

年が明けてしばらく経ちましたが、皆様はどうお過ごしでしょうか?
今年は元旦に、能登半島を中心とした北陸地方が大きい地震に見舞われました。被害を受けられた皆様が、1日でも早く平穏な生活に戻れますよう、心よりお祈り申し上げます。

さて、プライベートな話で恐縮ですが、堺市堺区にある大仙公園に、理由があって私はよく行きます。どんな公園かと申しますと、、、

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仁徳天皇陵古墳と履中天皇陵古墳の間に広がる緑と歴史に囲まれたたいへん美しい堺市のシンボルパークです。
堺市の緑化推進の核となる都市緑化センターをはじめ、大芝生広場やどら池、日本庭園、平成の森など文字かな自然と触れ合える場として最適です。
ぜひ、みなさまも、都会の緑の空間で楽しいひとときをお過ごし下さい。
<大仙公園パンフレット表紙より。アンダーラインはこちらで付けました>

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イメージして頂きやすいよう、公園の中央にある大芝生広場と、公園内周回道路の写真を載せておきます。



で、なんでよく行くかと申しますと、この公園では毎週日曜の朝10時頃より、堺市太極拳評議会の有志による太極拳の練習が行われており、それに参加するためなのです。

1月の最初の日曜日は、言わば稽古始め。この日も大勢の方が、太極拳を楽しまれておりました。

太極拳と言えば、お年寄りの健康法、というイメージを持たれている方が多いかと思いますが、はい、その通りです。ここに来れば、私は若手(笑)。
でも、私の参加目的は、それらの皆様と一緒に型を演ずることではなく、推手と呼ばれる相対練習をすること。太極拳業界(と言う表現は変かな?)では名の知れた名人、達人が、推手の相手を求めて此処に来られます。そんな先生方に稽古を付けてもらえるわけです、タダで。思う存分に飛ばされたり、転ばされたり、間接技を掛けられたりし放題。お得です!

さてさて、これだけ前振りしておきながら、本日のお話したいのは太極拳とは別のことです。
この公園には、パンフレット表紙の紹介文にも書かれてあるように、日本庭園があります。古民家好きの私としては、以前からその存在が気にはなっていたのですが、この正月に、ついにその中を拝見をしてまいりました。今日は、こっちの話です。

 

まずは、公園の全体像をつかんで頂くために、公園内に設置されている案内看板の地図をご覧いただきましょう。

矢印で示した黄色の楕円で囲ってあるところが、日本庭園です。

施設の方向を示した案内板設置されています。

さて、日本庭園の入り口に到着。

日本庭園だけのパンフレットがありますのでご覧ください。開くと平面図と施設概要の説明が載せられております。

総面積がなんと26,000㎡、でかいです。
庭園形式は、築山林泉回遊式、となっております。
設計は、中根金作(故人)。
昭和の小堀遠州※1と称えられた、大変著名な作庭家です。千里で1970年に開催された「万国博覧会」会場内の日本庭園の設計にも参画されたという、すごい経歴もお持ちです。
ついでに付け加えておくと、この方、私の大阪芸術大学での恩師(当時、環境計画学科の教授。のちに学長にもなられています)なのです。
さらに付け加えておくと、このパンフレットを見るまで、この庭が中根先生の作とは知りませんでした、お恥ずかしい。
もっと真剣に学んでおくべきだった、この偉大な先生に。後の祭り、ですわ(涙)。

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※1小堀 政一(こぼり まさかず)は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての大名、茶人、建築家、作庭家、書家。
2代備中国代官で備中松山城主、のち近江国小室藩初代藩主。伏見奉行、上方郡代と江戸幕府成立期の京都伏見にて、畿内近国支配に重要な役目を果たした。官位は従五位下遠江守。茶道の遠州流、小堀遠州流の祖。
一般には小堀遠州(こぼり えんしゅう)の名で知られるが、「遠州」は武家官位の受領名の遠江守に由来する通称で後年の名乗り。道号に大有宗甫、庵号に孤篷庵がある。
<ウィキペディアより>

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パンフレットの平面図を拡大しましょう!

黄色い矢印を書き添えました。ここが入り口です。

するりと中に入れるのですが、入ったら係員の方が立っており、券売機へ誘導されます。このタイミングで入場券を買うことになります、ちょっとずるい。

入場料は大人200円、まあ「安いからよし」としましょうか。

パンフレットによると
「庭全体を中世から海外貿易の拠点として栄えた「堺」に見立てたものとなっており、市民の発展と繁栄を祈る意味を庭に表し、市民の憩いの場所と文化の創造を目指して作られました」とあります。

門を入ると広場になっており。正面に休憩舎(きゅうけいしゃ)が建っております。

これが数寄屋風寝殿造りの立派なもので、堺の納屋衆(後に会合衆とも呼ばれた堺の豪商たち)の集会所を想定して建てられており、文化的な集いの場所として利用されているそうです。甘味処も併設。和菓子や抹茶を頂きながら、まったりとした時間を過ごすことが出来ます。

建物は大海に見立てた池泉に迫り出すように配置されており、対岸は中国大陸。江西省にある名勝「廬山(ろざん)」を模した築山があり、滝も造られています。

少し視線を振ると、庭越にこの公園のシンボルである「平和の塔」が望めます。

池にはゆったり鯉が泳ぎ、鴨ものんびり羽を休めておりました。

休憩舎の内部をご覧ください。

数寄屋造りのフレーム越しにみる対岸の廬山。

優雅な気分になれます。舟遊びでもしたいですね、そんなアクティビティは用意されていませんけど。

 

さて、ここからは、庭園内を廻って行きましょう。

石津渓(いしづけい)。

流れは、古代より現代に至るまで堺の人々の生活と文化を育んできた石津川を表しています。

こちらが南端にある桃源台(とうげんだい)というエリア。

石津川の源である泉北丘陵を表しています。春には、桃、梅、牡丹などの花が楽しめるそうです。

桃源台にある流杯亭(りゅうはいてい)

堺の友好都市中国の連雲港市から贈られた石に流れを彫み、曲水を再現しています。

 

ここから対岸側に回り、もと来た方へ向かいます。

青苔亭(せいたいてい)と杜若池(とじゃくち)。

初夏には花菖蒲や杜若(かきつばた)が風情を競うそうですよ。

さらに戻ると、石津川の河口です。

前方に見える二つの橋は、印月橋(いんげつきょう)と映波橋(えいはきょう)。河口に浮かぶ島と両岸を結びます。

そこから、少し脇道へ反れて、傘亭(かさてい)へ。

庭園を見下ろせる高台です。
そこからの眺めがこちら。

再び大海の方へ下っていくと、

休憩舎から対岸に見えていた廬山に付きました。

同じく対岸に見えていた滝。飛龍漠(ひりゅうばく)と名付けられていました。

滝の横には甘泉殿(かんせんでん)。

中国の風情ですね。

 

庭園を回っていたときには気が付かなかったのですが、このような場内案内システムが備わっていることが、後になって分かりました。

たとえば、橋のたもとにはこのような看板があり、その柱にはQRコードが!。スマホをかざすと、下記のような画面が表示されました。

いかにもイマドキであります!

さて、日本庭園の紹介は以上です。
いかがでしたでしょうか?
日本庭園のパンフレットには、「花ごよみ」の欄があり、下記のように記されています。

1月 ささんか
2月 つばき、うめ
3月 桃
4月 さくらそう、ぼたん
5月 かきつばた、つつじ
6月 花しょうぶ、あじさい
9月 はぎ
10月 うめもどき
11月 菊、つわぶき
12月 さざんか

四季の移ろいを感じたければ、この庭園にさえ来ればOK!ですね。
充分に200円の値打ちはあるかと思います。

加えて、公園自体が広大で他に見どころも豊富。年中来ても飽きないですね。
ついでに太極拳もいかがですか!?

(梅谷)


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