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「正しい日本のお正月」を迎えたい! じゃあ、どうする?

「歳時記」

一年中の季節に応じた祭事、儀式、行事、自然現象など百般について解説をした書。

出典:コトバンク

 

長い日本の歴史を経て生まれた年中行事は、生活の中で培われた知恵の結晶でした。ところが、いつの間にかそれらの行事は形骸化したり廃れたりしております。大切な「日本のこころ」は、失伝の危機にあると言えましょう。

昭和人間の私は、年末のこの時期になると、いつも思うことがあります。

「正しい日本のお正月を迎えたい!」

 

今の世の中、便利です。生活インフラの充実度は昔と比べ物になりません。年中を通して、もっと言えば昼も夜も関係なしに標準化・安定化した生活を送れます。

昔は今よりずっと不便でしたが、その分、晴(ハレ。儀礼や祭、年中行事なの「非日常」)と褻(ケ。普段の生活である「日常」)がはっきりとしており、メリハリがありました。喜びはより大きく、悲しみはより深く、人々はネットではなく心で繋がり、助け合って生きていたのです。

私の子供のころは、正月三が日に営業している店なんて、ほぼありませんでした。腹が減ったら家でおせちを食べるか、買い置きしたものを食べるしかなかったのですよ、若い皆さん。

でも、昔のお正月の方か、ずっとずっとお正月らしさが溢れたお正月だったのです、へんな言い方ですが。本当に特別な時空間、まさに非日常。そんなお正月を、もう一度迎えることはできないものだろうか、、、

 

ここで、日本の家について、考えてみたいと思います。

今では、生活の洋風化は当たり前で、本来の日本家屋の方が例外になっております。でも、「正しい日本のお正月」迎えるためには、「床の間のある座敷と縁側」という舞台が必要、と私は思っております。

なんだ、カタチから入るのか、と思われた方、そう、カタチからです。現在、享受している便利な生活から後戻りできない限りは、カタチからです。

鏡餅は、床の間に飾るべきものです。座敷の中央には立派な座卓が置かれており、家族同士もお正月だけはかしこまって、此処で新年の挨拶をかわします。お屠蘇や雑煮、御節料理もここで頂きます。正月だけは、アポなし来訪者歓迎です。新しい年を無事に迎えられたことをお互いに喜び、座卓を囲んで昔話に花を咲かすのも良いでしょう。

座敷の前には縁側があり、その向こうの庭では、子供たちがコマを回したり、羽根つきをして遊びます。うん、うん、だんだん雰囲気が盛り上がってきました!

「縁側」に、私は強い思い入れがあります。

子供のころ住んでいた家には、立派な座敷は無かったのですが、貧相ながら縁側はありました。そこでの日々の暮らしは、縁側の存在とは切り離せないものでした。今はもう無くなってしまったその家のことを思い出す時、縁側で弟や友達と遊んだことや、催事やその準備の光景が脳裏によみがえり、遠い目になってしまいます。

 

ここで、縁側がどんなものかイメージできない若い方へ、参考資料として「サザエさんち」をごらんください。

(引用元:https://www.pixiv.net)

ちなみにサザエさんちは、世田谷にある広い庭付きの1戸建て平屋。なんて贅沢なのでしょう。磯野家はとんでもない資産家です(笑)。

座敷に面した廊下みたいなのがそうです。この廊下が庭に面して作られてあり、そこには大きな掃き出し窓があり、座敷と庭をつなぐ、半外的な使われ方をする場所となります。

夏にはここに腰を掛け、スイカにかぶりついたり、夜には庭で線香花火をする子供たちを、微笑みながら見守ります。出入りの植木屋さんがお茶を飲みながら休憩するところです。猫の昼寝場所でもあります。

 

コアーが建てる家は、どちらかと言えば和風テイスト。たいていは、1階リビングのとなりに和室を設けております。中には、縁側まで造られる方もいらっしゃいます。日本の心を大切にされている方と察します。

現代版の縁側と言えるものが、コアーの家定番のリビングに面したウッドデッキではないかと、思います。見た目はともかく、役割的には近いものではないでしょうか。

 

見て頂きたいものがあります。

下の写真は、堺市南区泉田中にある、当社の古民家再生モデルハウスです。

間続きの座敷の前にあるものは、縁側でなくウッドデッキです。現代の生活にマッチした設備を配して、渋くも美しく再生された純日本家屋と、その前に広がる和風の庭を柔らかく繋ぐ、現代版の縁側となっているのです。

座敷にある大きな掃き出し窓が作り出すフレーム越しに見る、田園風景を借景とした庭園。古民家大好きの私には、たまらないシチュエーションであります。

また、この家には、薪ストーブが備わっております。

和長折衷と言えましょうが、役割的には「囲炉裏」だと思います。同じ土間にバーカウンターがあり、飲み食い談笑が出来るスペースとなっています。ね、囲炉裏端でしょ!

こんな家なら、正月飾りも鏡餅も映えるに違いありません。

ああ、こんな家で、正しい日本のお正月を迎えたい!!!

 

今の便利な生活を否定せず、日本の心の文化を未来につなぐもの、それが古民家再生の役割ではないかと考えます。

本格的な再生工事には、高額な工事費用が掛かります。建て替えた方が安くつく、というケースすらあるかと思います。それでも、祖先が残してくれた歴史ある家を、大切に住み継ごうと考えている方、ぜひ当社にお声がけ頂きたいと思います。

コアー建築工房は、そんなあなたの思いに、全力でお応えします。

正しい日本のお正月をお迎えたい方、この指とまれ!

 

(梅谷)

 


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