記事一覧

床座と椅子座

床座・椅子座という言葉をご存じでしょうか?

言葉の意味合いとしては座布団や座椅子を置くなどして床に直接座るのが床座、椅子やベンチに腰掛けるのが椅子座です。

日本では、板間の囲炉裏であったり、畳の上でちゃぶ台やこたつを囲んで団らんをする床座の文化があります。そこへ室内でも靴を履くのが当たり前の外国から椅子座の文化が入ってきました。
その両方を上手く使い分けながら生活をしているのが今の日本です。

床座と椅子座、どちらにも良いところとそうでないところがありますが、大きくは以下の2つが挙げられます。

・部屋を広く使いたいなら床座がオススメ

椅子座の場合、お気に入りの椅子を見つけてインテリアとして空間を自分好みにデザインするのも楽しみの一つですが、どうしても椅子を設置するスペースの確保が必要なため、例えばダイニングなどに机と椅子を並べるとほぼその空間の用途が固定されてしまいますし、やや人数の多い来客がある際など場合によっては予備の椅子が必要だったりと融通の利きづらい側面があります。
対して床に座るのであれば何も用意する必要はなく、室内の空間をその時々の都合や気分に合わせて自由かつ簡単に利用することが出来ます。

・身体への負担を考えると椅子座が◯

床に座っているとすぐに寝る体勢にもなれるため、冬場こたつなどがあるとついついダラダラしてしまい勝ちではないでしょうか。座り方にも色々あり、TPOに応じてあぐらをかけなかったり、ずっと正座をしていると足が痛くて痺れもします。楽にするために足を崩して変な姿勢で居ると今度は身体全体への負担がかかってきます。
その点、椅子座であれば、座る時・立つ時の動作が床座に比べて楽に出来、御高齢の方などにも適していると言えます。椅子に腰掛けていると継続して座る姿勢を維持しやすいので、勉強や仕事をする上では断然椅子座の方が向いていそうです。

 

意匠的、空間的、健康的の3つの側面から床座と椅子座を比較してみましたが、結局のところ床座と椅子座どっちがいいのかと言うと答えはないのかもしれません。
色んな文化の入り交じった日本で生活する我々にとっては、やはり床座・椅子座共に『必要性』に応じて使い分けていく必要がありそうです。
そこに生活をする人それぞれの価値観やライフスタイルを落とし込むことで、理想のお部屋空間に近付けるのではないでしょうか。

 

(後藤)