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木造住宅のきゅうひゃくとお

私が住宅建設に携わって、初めてお邪魔した現場で職人さんから最初に教わったことが、「建物はきゅうひゃくとお」という言葉でした。

初めは聞きなれない「きゅうひゃくとお」の意味が分からず、頭に「?」が浮かびましたが、これは「910」のことでした。九百と、十(とお)ですね。

「建物は910」とはつまり、「建物は910㎜を一つの基準の大きさとして設計・製作されている」という意味でした。

従来の日本家屋では、3尺(=約910㎜。1尺は約303㎜)を基準とした、「尺モジュール」(モジュールは企画寸法の単位)と呼ばれる考えを用いて設計されており、木造建築を建築するコアー建築工房でもこの尺モジュールを採用しています(近年では、外国からもたらされた工法が主流になりつつあり、その他バリアフリーへの対応などにより、メーターモジュール(1m規格)を採用する住宅メーカーも多数あります)。

910㎜という数字は、畳の短辺方向3尺(910㎜)、長辺方向6尺(1820㎜)を基準として決められており、日本で伝統的に用いられてきて歴史にも納得がいくかと思います。

現場で大工さんらが「さぶろく板」と言っているのは、910㎜×1820㎜の合板のことで、この3尺×6尺の寸法からきている言葉なわけですね。

 

私も建築にかかわって1年が経ちましたが、新卒だった去年の今頃、実際に現場で柱の中心から隣の柱の中心までをはかってみると、1365㎜であったり、455㎜であったり、確かに大工さんの言う通り、910㎜を基準として柱が配置されており、そこまでは学生の頃から知っている知識だったのですが、壁床の下地に使う合板類や、なにからなにまで、騙されているんじゃないかというくらいに910㎜をベースに家が造作されていて、初めて現場へ出て1時間ほどで、一気に建築の世界に触れた気がしたのを覚えています。

 

これからお家づくりをされる方々にも、建築の初心者ならではの、知らないことを楽しんで、お家づくりを楽しんでほしいなと思います。

 

(後藤)